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2層CCL「エスパネックス®」の開発・事業化の業績で平成27年度「大河内記念生産特賞」を受賞

2016年3月
 当社、機能材料事業の主力製品である2層CCL「エスパネックス」の開発と事業化の功績が認められ、平成27年度大河内賞の「大河内記念生産特賞」に選ばれました。
大河内賞は、2016年で62回目を迎える歴史ある賞であり、多くの候補事業の中から当社は初めての推薦で特賞に選ばれる栄誉にあずかりました。
 表彰式は3月25日(金)、東京丸の内の日本工業倶楽部にて行われ、勝山憲夫社長が表彰状を、篠原一彰常務執行役員が記念の盾を受け取りました。
大河内賞贈賞式の様子01 大河内賞贈賞式の様子02
大河内賞とは
 昭和29(1954)年、東京帝国大学教授・子爵大河内正敏工学博士(財団法人理化学研究所第三代所長)が学界、産業界に残された功績を記念して大河内記念会が設立されました。
 その後財団法人の認可を受けた大河内記念会は、公益財団法人に移行した現在まで、大河内博士の遺志である「生産工学の振興」による日本の産業と科学技術の発展に貢献することを目的に一貫して大河内賞の贈賞事業等を行っております。
大河内賞(記念賞、記念技術賞、記念生産特賞、記念生産賞)は、毎年理工学系大学、研究機関、学協会、産業団体及び企業等から推薦される生産工学、生産技術の分野の卓越した業績について、大学教授等20名余で構成される「大河内賞審査委員会」の厳正な審査により選定された業績に贈呈されます。
 創設された昭和29年の第1回から数えて今年で62回を迎えた歴史と伝統のある賞として定着しております。(大河内記念会事務局)
【賞の種類、対象となる業績】
区分 賞の種類 対象となる業績
事業体を対象とする賞 大河内記念生産特賞 生産技術、高度生産方式等の研究により得られた優れた発明または考案に基づく産業上の特に顕著な業績
大河内記念生産賞

生産技術、高度生産方式等の研究により得られた優れた発明または考案に基づく産業上の顕著な業績
個人または5名以内のグループを対象とする賞 大河内記念賞 生産工学および生産技術上優れた独創的研究成果をあげ、学術の進歩と産業の発展に貢献した特に顕著な業績
大河内記念技術賞 生産工学および生産技術上優れた独創的研究成果をあげ、学術の進歩と産業の発展に貢献した顕著な業績
受賞業績の概要
「キャスト方式による無接着剤型銅張積層板(2層CCL)および高生産性プロセスの開発」

1. 研究開発の背景と目標
回路基板材料「エスパネックス」回路基板材料「エスパネックス」
 1980年代後半から1990年代初頭にかけて、電子手帳、ノートパソコンに代表される個人向け携帯電子機器が市場に登場し始めましたが、当時のFPC材料は耐熱性の低いエポキシ系接着剤を使用した3層CCLが主流で、電子機器の軽薄短小化、デジタル化、カラー液晶搭載に伴うFPCの多層化、微細配線化、環境規制(鉛フリー、ノンハロ・ノン燐)を満足する無接着剤型材料(2層CCL)の実用化が望まれていました。

 当社は、将来の電子機器の高機能化に向けて、飛躍的に性能を向上させたフレキシブル銅張積層板(FCCL)の実用化を目標に、1985年から低熱膨張ポリイミドをキャスト法により直接銅箔上に形成するという全く新しい設計コンセプトによる2層CCL開発に着手しました。
2. 経過
 1989年に片面CCL、1990年に片面CCLと銅箔との高温連続ラミネートによる両面CCLを世界で初めて開発、上市し、1990年代の携帯電子機器の市場拡大期におけるノートPC、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、更に1998年以降の国内の高機能カラー携帯電話の普及に大きく貢献しました。2001年以降は韓国・欧米端末メーカーによる高機能携帯電話の世界的普及に合わせて、生産性を高めた連続乾燥・硬化及び連続ラミネートプロセスにより実現した業界随一の供給能力を背景に、高機能FPC向けの標準材料としての地位を確立しました。

3. 内容と特徴
(業績の独創性および先行性、学術的優秀性、競合技術に対する優位性、経済的貢献度、社会的貢献度、技術内容の公開度、克服した課題、将来性等)
高機能FPCのフィルムとしての性能と高生産性(速硬化性)を兼ね備えたポリイミド樹脂開発
 フレキシブル銅張積層版(FCCL)に必要な耐熱性、低吸湿性、熱寸法安定性に優れ、高速乾燥・硬化を実現する低熱膨張ポリイミドを開発しました。更にポリイミド前駆体溶液からの乾燥、硬化過程における分子の面内配向状態を制御することにより、ポリイミドの熱膨張係数を高精度に制御できる技術として確立しました。
キャスティング法2層CCL材料の機能設計、商品化
 前途の低熱膨張ポリイミド及び銅箔との接着性を高めた高接着性ポリイミドを硬化後の熱膨張係数が銅と整合するように銅箔上に任意の厚み比で3層塗工、その後硬化することにより、寸法安定性(面内等方性)に極めて優れ、しかも銅箔接着力の信頼性が高いキャスト法2層CCLを世界に先駆けて開発、商品化しました。
高効率且つ品質安定性に優れた連続生産技術の確立(最大1,000万m²/年の生産能力の達成)
 高機能携帯電話、スマートフォンの世界的普及に対応した2層CCLの生産能力を確保していくために、世界初となるフローティング方式による片面CCLの広幅(1,000mm)連続塗工・硬化プロセスの開発に成功しました。更に生産性に優れた両面CCLの広幅、高速・広幅の連続ラミネートプロセスを開発し、高性能で品質安定性に優れた2層CCLの大量生産と供給を実現しました。

4. 成果
■生産能力の推移
■国内生産実績
  1995年 2000年 2005年 2010年 2015年(*)
数量(千m²) 127 949 4,376 5,641 8,124
市場占有率 71% 55% 44% 32% 31%
(*2015年は見込)

5. その他特筆すべき事項
 当社2層CCLはグローバル化した厳しい競争環境の中で現在も世界トップシェアを維持しています。
 近年は、スマートフォンの機能進化に伴い2層CCLに求められる性能・品質水準は一段と高度化しており、足元では当社2層CCLの販売数量が急激に拡大しています。